私のお世話がかり

第五話 お世話係って、何するんですか!?

 ◯サークル部室 夜六時頃
 日が沈み、部室棟はどこも明かりがついている。近くの軽音部からはギターやドラムの音が漏れ聞こえる。
 漫研のホワイトボードには『議題 学祭での部誌のテーマ』の文字。

 宮内「どっちのテーマで描くか考えてきてくれたっすかー? 偏んないようにアンケート取るんで、描く方に手挙げてくださいねー」
 司会の宮内が部員たちに目を向けると、部室はざわめき出した。

 双葉はイスに座ってぼーっとしていたが、先輩の湯本に声をかけられ、驚いて顔を上げた。
 湯本(ポニーテールに大きいリボン)「双葉サン、双葉さんはどっちにする?」
 双葉「えっ、あ!」  
『A誌“ちょ、待てよ”、B誌“おまえそれ次やったらマジでコレだからな” 』(ホワイトボードの文字)
 双葉「……?」
 何を言っているか分からず、双葉は眉をひそめた。

 モブ部員(細身の眼鏡)「オレはAかな。感動系にもコメディ系にも持っていけるしな」
 モブ部員(ぽっちゃり女の子)「私はB。エロくなりそうでならないギリギリを狙って描くわ」
 モブ部員(ぽっちゃり男子)「エロかったら発行できねーわ」
 一同は笑い声を上げた。
 けれども、双葉は頭に? マークが浮かぶ。
 おそらく漫画やアニメの有名な台詞かと思ったが、普段ほとんど見ない彼女にはさっぱりだった。
 双葉 (やばい。何言ってるのか全然分からない……)
 
 最上「分かんないなら俺と同じにする?」
 ふと、最上が声をかけてきた。
 双葉は“お世話がかり”のことを思い出して顔が赤くなる。
 双葉「せ、先輩!」
 最上「おはよう、双葉さん。あれからちゃんとグループ討論できた?」
 双葉「い、一応……」
 最上「そう、良かった」
 彼はそっと頭を撫でた。
 派手な同級生には相手にされなかったものの、部長が引っ張ってきてくれた学生とは普通に会話をし、グループ課題もちゃんと提出することができた。

 だが、グループ学習とは別のところで悩みが発生してしまったのは秘密である。
 双葉は最上を見上げた。
 双葉 (先輩、全然普通だな。あんなこと言われて恥ずかしくなかったのかな)

 ◯回想 
 大学のエレベーター待ちをする、双葉、最上、部長。窓の外には星が出ている。
 双葉・最上「おせわがかり!?」
 部長「いわゆるーー保護者みたいな感じよ! ……人生のね!」
 部長は楽しそうに言った。
< 17 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop