スイートハニー
実はリオに連絡をしたのは心配だったからだけではない。
本当は伝えたいことがあったのだけど、もし浮気をされているならそれも考え直さないといけないな。
そんなことを考えているうちに自宅マンションへと着いた俺は荷物を適当に床へ置くと、ポケットから携帯電話を取り出した。開いてみたけどリオからの連絡はなかった。
「くっそ、あいつ……」
何でこの時間になっても連絡の1つも寄越さないんだ。
焦りと不安が胸の奥に込み上げる。
それでもまだ決まったわけじゃないと自分に言い聞かせて通話ボタンを押した。
数回のコールが鳴った後、繋がった音に思わずホッとして「もしもし、リオ?」と声をかけていた。
『ヒロキ……』
リオの声に心なしか元気がないような気がした。いつも飛び跳ねるような声で喋るもんだから、その変化には何となく敏感だ。
『あ、ごめんね、電話出られなくて……』
「別にいいけど、どっか出かけてた?」
『ううん、お風呂入ってたの、それで気づかなかった』
「そっか……」
風呂ならすぐに折り返しの電話くらいできるはず。ならどうして……まさか、嘘をついた?いやいや、そんなことあるわけ……。
緊張のせいか携帯を持つ指に力がこもる。声が震えそうになるのをどうにか我慢して会話を続けた。
『急にどうしたの?何かあった?』
「まあ、ちょっと用があったんだけど……お前の方こそ、何かあったんじゃないの」
『え?あたし?』
受話器越しに不思議そうなリオの声が聞こえた。
もはやこれが演技なのか本心なのかすら分からない。声は聞こえても表情が見えないのだから当たり前だけど。
「ここ一週間一度も連絡してこなかったじゃん」
『え、気づいてたの……?』
「そりゃ気づくだろ、毎日のように電話やらメールやらしてきてたのに、いきなり静かになったら不自然すぎるし」
『ああ、そういうことね……』
あ、また声が沈んだ。相変わらず分かりやすい奴。
こんなに嘘のつけないリオが俺にバレないように浮気なんてできるわけない。
彼女の声を聴いて俺は確信した。
『それで?用って何なのさ』
さっきまで沈んでいたかと思えば急にリオの態度が一変して、今度は何故か怒っている様子だった。
「何でいきなり怒ってんだよ」
『怒ってないよ別に』
「怒ってんじゃん」
『怒ってないってば!』
そう言いながら怒鳴るリオに思わず押し黙った。
何で急に怒りだしたのかもワケが分からないし、ここ2週間ずっとヤキモキさせられたのにどうして怒鳴られなきゃならないのか。
俺も少しムカッとしてきたがここで2人して怒鳴り合っても仕方がないので、込み上げる怒りを何とか腹の底に沈めた。
『ヒロキは、あたしの事どう思ってんの?』
「は?何だよいきなり……」
『……あたし達、付き合ってるんだよね?』
震えを噛み殺したような小さな声で問い掛けるリオに、俺はできるだけ優しく答えた。
「当たり前だろ、今更何言ってんだよ」
『でも、だったら……ヒロキの気持ち、ちゃんと知りたいよ……知っていたいよ』
「俺の気持ちって、そんなの……お前の方こそ何なんだよ」
『え?』
さんざん心配かけといて、俺の方こそお前の気持ちが知りたいんだっつーの。と、言ってやりたかったがやっぱり少し恥ずかしいからやめた。
「この間、年下の男に告白されたんだろ」
『あ、ああ……』
「そいつの話してからいきなり連絡途切れるし、大学から帰ってる時間見計らって連絡したのに出ないし、こっちは色々と……」
言ってる途中で、何だか情けなくなってきた。リオの浮気を疑ったりした自分が最低に思えて、こんな自分が馬鹿みたいで。本当はもっと優しくしてやりたいし、ずっと傍にいたいと思ってるのに。
本当は伝えたいことがあったのだけど、もし浮気をされているならそれも考え直さないといけないな。
そんなことを考えているうちに自宅マンションへと着いた俺は荷物を適当に床へ置くと、ポケットから携帯電話を取り出した。開いてみたけどリオからの連絡はなかった。
「くっそ、あいつ……」
何でこの時間になっても連絡の1つも寄越さないんだ。
焦りと不安が胸の奥に込み上げる。
それでもまだ決まったわけじゃないと自分に言い聞かせて通話ボタンを押した。
数回のコールが鳴った後、繋がった音に思わずホッとして「もしもし、リオ?」と声をかけていた。
『ヒロキ……』
リオの声に心なしか元気がないような気がした。いつも飛び跳ねるような声で喋るもんだから、その変化には何となく敏感だ。
『あ、ごめんね、電話出られなくて……』
「別にいいけど、どっか出かけてた?」
『ううん、お風呂入ってたの、それで気づかなかった』
「そっか……」
風呂ならすぐに折り返しの電話くらいできるはず。ならどうして……まさか、嘘をついた?いやいや、そんなことあるわけ……。
緊張のせいか携帯を持つ指に力がこもる。声が震えそうになるのをどうにか我慢して会話を続けた。
『急にどうしたの?何かあった?』
「まあ、ちょっと用があったんだけど……お前の方こそ、何かあったんじゃないの」
『え?あたし?』
受話器越しに不思議そうなリオの声が聞こえた。
もはやこれが演技なのか本心なのかすら分からない。声は聞こえても表情が見えないのだから当たり前だけど。
「ここ一週間一度も連絡してこなかったじゃん」
『え、気づいてたの……?』
「そりゃ気づくだろ、毎日のように電話やらメールやらしてきてたのに、いきなり静かになったら不自然すぎるし」
『ああ、そういうことね……』
あ、また声が沈んだ。相変わらず分かりやすい奴。
こんなに嘘のつけないリオが俺にバレないように浮気なんてできるわけない。
彼女の声を聴いて俺は確信した。
『それで?用って何なのさ』
さっきまで沈んでいたかと思えば急にリオの態度が一変して、今度は何故か怒っている様子だった。
「何でいきなり怒ってんだよ」
『怒ってないよ別に』
「怒ってんじゃん」
『怒ってないってば!』
そう言いながら怒鳴るリオに思わず押し黙った。
何で急に怒りだしたのかもワケが分からないし、ここ2週間ずっとヤキモキさせられたのにどうして怒鳴られなきゃならないのか。
俺も少しムカッとしてきたがここで2人して怒鳴り合っても仕方がないので、込み上げる怒りを何とか腹の底に沈めた。
『ヒロキは、あたしの事どう思ってんの?』
「は?何だよいきなり……」
『……あたし達、付き合ってるんだよね?』
震えを噛み殺したような小さな声で問い掛けるリオに、俺はできるだけ優しく答えた。
「当たり前だろ、今更何言ってんだよ」
『でも、だったら……ヒロキの気持ち、ちゃんと知りたいよ……知っていたいよ』
「俺の気持ちって、そんなの……お前の方こそ何なんだよ」
『え?』
さんざん心配かけといて、俺の方こそお前の気持ちが知りたいんだっつーの。と、言ってやりたかったがやっぱり少し恥ずかしいからやめた。
「この間、年下の男に告白されたんだろ」
『あ、ああ……』
「そいつの話してからいきなり連絡途切れるし、大学から帰ってる時間見計らって連絡したのに出ないし、こっちは色々と……」
言ってる途中で、何だか情けなくなってきた。リオの浮気を疑ったりした自分が最低に思えて、こんな自分が馬鹿みたいで。本当はもっと優しくしてやりたいし、ずっと傍にいたいと思ってるのに。