髪の毛の悩みなら公女様にお任せあれ!~ヘアスタイルから始まる領地改革

「ケイリーと結婚するまでの間、ルシアナを私の侍女として嫁ぎ先に連れて行きたいって言ったら、ケイリーったらすっごい剣幕で怒ってきたのよ? ほんの数年なんだからいいじゃない。ねえ?」
「ふふふっ、この家にも置いておいたくないと言うくらいですから。ケイリー様って結構独占欲が強いお方ですね」
「ねー」

 正式に王位の第一継承者となったケイリーは、来月立太子の礼が執り行われる。その際ルシアナとの婚約発表もする予定で、ベアトリスはそれまではこの国に留まり、その翌月には隣国へと旅立ち結婚する。
 ルシアナと結婚をするのはケイリーがより成熟して、20歳を過ぎてからの方が良いだろうということで、あと2、3年はお預け状態となったのだが、この間にベアトリスがルシアナを侍女にしたいと言う申し入れがあった。
 これにはケイリーが猛反対して、ベアトリスの侍女を続けるという話は流れ、さらにケイリーは結婚するまでの間、ルシアナが王宮で暮らすよう手筈を整えていたことにはかなり驚いた。

 ケイリー様こそ、ねちっこいじゃない。

 と言いたいルシアナだったが、嬉しい気持ちの方が勝っているので大人しく従うことにした。

 姉の結婚式が終わったら王宮へ向かう予定のルシアナは、ルミナリアの領地運営を引き継ぐために奔走していて、ここ最近はかなりバタついている。
 ルシアナがいなくなっても、領地運営が上手くいくかどうか心配だったけれど、それは杞憂に終わりそうだ。
 これからどうするつもりだったのか、今後の展望を父だけでなくウィンストンにも説明すると、さすがは事業で成功を収めていたバルドー家の息子。飲み込みが早いわ、問題点や改善点を見つけて指摘してくれるわで、大助かりだった。
 ヘアケア製品の開発はこれからももちろん、ルシアナも続けていくつもりだし、理容師の育成にもまだまだ携わりたい。

 ウィンストンの髪を切りながら、ルシアナは気が付いた。

 ――わたくしの夢、いつの間にか叶ってるじゃない。

 ふっと、笑ったルシアナは、仕上げに特性のヘアオイルで整えると、お茶を飲みながらお喋りしている3人に向かって声をかけた。

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