髪の毛の悩みなら公女様にお任せあれ!~ヘアスタイルから始まる領地改革
14. ルシアナ、ケイリーのその後を知る
領民の意見を聞き、さらに両親の承諾も得たルシアナはまず、りんご酢をシャンプー後に使う穀物酢の代用品として売り出すことを考えてみた。
通常使われる穀物酢ではキツイ刺激臭だが、りんご酢を使うことでフルーティーで甘酸っぱい香りを楽しみながらバスタイムを過ごせる。
りんご酢の値段は、貧困層は無理でも中間層以上ならば手に入れられるので、平民の間で流行らせることは可能だろう。
さらにルシアナは貴族や富裕層向けに、りんご酢にプラスアルファの成分を足して、国内初のヘアトリートメントを作ってみようと思っている。
りんご酢だけでは開いたキューティクルを閉じさせるだけだが、ここに色んなエキスなどを加えて、髪の傷みをケア出来るアイテムを作れば、貴族や富裕層の女性は飛びつくはずだ。
とりあえず蜂蜜を入れる案はベロニカを洗髪した時に思い付いて以降、ずっと試してもらっているけれど、手応えをかなり感じる。本人もパサつきがだいぶ軽減されてきたと大喜びだ。
でもりんご酢に蜂蜜を入れたくらいじゃ、オリジナリティーが足りない。
もっと高付加価値を付けて、高値で売らなきゃ……。うーん。
色んなハーブやら何やらを街で買い込んで帰ってきたルシアナは、廊下の向こうから慌てた様子でこちらに向かってくるベロニカと出くわした。
「お姉様、どうなさったのですか? そんなに慌てて」
「ル、ルシアナ! 大変よ。これを見て」
ベロニカが広げて見せてきたのは新聞。指で示された記事の見出しには『ケイリー第一王子殿下 ドラゴンに襲われ大怪我を負う』と書かれている。
「ケイリー様が怪我を?!」
「そうなのよ」
そのまま記事を読んでみると、ケイリーが避暑地として訪れたアルベリア伯爵領からの帰り道で、ドラゴンと遭遇してしまったらしい。
ドラゴンと言えば魔物の中でも最強クラス。姿を現せば町がひとつ消し飛ぶことだってある。ただし数は多くなく、滅多に遭遇することなんてないのだけれど……。これはもう、不運だったとしか言いようがない。
ケイリーは命こそ取り止めたものの大怪我を負い、現在王宮にて療養中とのことだ。
「王都は大騒ぎだったらしいわよ」
「そうでしょうね。何人かいる王子の中でも、取り分けケイリー様は人気だとモニカが言っていたもの」
ほんのひと月前まで、あのキラキラしい笑顔を振りまいていたのに……。
いくらケイリーと価値観が合わないからと言っても、幾日もの時を共に過したのだ。心配にならないほど、ルシアナは薄情では無い。
「わたくしお手紙を出してみますわ。返信をいただけるか分かりませんけど」
「ええそうね。ルシアナが一番、ケイリー様と一緒に過ごしていたんだもの。その方がいいわ。私や両親、祖父母も心配していると書いておいてね」
「もちろんです」
ルシアナは部屋へと戻るとかき集めてきたハーブをテーブルに放り投げ、早速ケイリー宛に手紙をしたためた。
通常使われる穀物酢ではキツイ刺激臭だが、りんご酢を使うことでフルーティーで甘酸っぱい香りを楽しみながらバスタイムを過ごせる。
りんご酢の値段は、貧困層は無理でも中間層以上ならば手に入れられるので、平民の間で流行らせることは可能だろう。
さらにルシアナは貴族や富裕層向けに、りんご酢にプラスアルファの成分を足して、国内初のヘアトリートメントを作ってみようと思っている。
りんご酢だけでは開いたキューティクルを閉じさせるだけだが、ここに色んなエキスなどを加えて、髪の傷みをケア出来るアイテムを作れば、貴族や富裕層の女性は飛びつくはずだ。
とりあえず蜂蜜を入れる案はベロニカを洗髪した時に思い付いて以降、ずっと試してもらっているけれど、手応えをかなり感じる。本人もパサつきがだいぶ軽減されてきたと大喜びだ。
でもりんご酢に蜂蜜を入れたくらいじゃ、オリジナリティーが足りない。
もっと高付加価値を付けて、高値で売らなきゃ……。うーん。
色んなハーブやら何やらを街で買い込んで帰ってきたルシアナは、廊下の向こうから慌てた様子でこちらに向かってくるベロニカと出くわした。
「お姉様、どうなさったのですか? そんなに慌てて」
「ル、ルシアナ! 大変よ。これを見て」
ベロニカが広げて見せてきたのは新聞。指で示された記事の見出しには『ケイリー第一王子殿下 ドラゴンに襲われ大怪我を負う』と書かれている。
「ケイリー様が怪我を?!」
「そうなのよ」
そのまま記事を読んでみると、ケイリーが避暑地として訪れたアルベリア伯爵領からの帰り道で、ドラゴンと遭遇してしまったらしい。
ドラゴンと言えば魔物の中でも最強クラス。姿を現せば町がひとつ消し飛ぶことだってある。ただし数は多くなく、滅多に遭遇することなんてないのだけれど……。これはもう、不運だったとしか言いようがない。
ケイリーは命こそ取り止めたものの大怪我を負い、現在王宮にて療養中とのことだ。
「王都は大騒ぎだったらしいわよ」
「そうでしょうね。何人かいる王子の中でも、取り分けケイリー様は人気だとモニカが言っていたもの」
ほんのひと月前まで、あのキラキラしい笑顔を振りまいていたのに……。
いくらケイリーと価値観が合わないからと言っても、幾日もの時を共に過したのだ。心配にならないほど、ルシアナは薄情では無い。
「わたくしお手紙を出してみますわ。返信をいただけるか分かりませんけど」
「ええそうね。ルシアナが一番、ケイリー様と一緒に過ごしていたんだもの。その方がいいわ。私や両親、祖父母も心配していると書いておいてね」
「もちろんです」
ルシアナは部屋へと戻るとかき集めてきたハーブをテーブルに放り投げ、早速ケイリー宛に手紙をしたためた。