地味子には秘密があるらしい!
 幼稚舎から一貫して白鳥に居ればまさに最強。

これが上流社会というやつか。恐ろしい。本当に恐ろしい。

軽く身震いするが、私の畏怖など露知らず。

彼は私たち二人の背中をグイグイと押す。

 「さあさあ二人とも、入って入って!ここにはいっぱい楽しいものがあるよ!」

 「いえ、でも寮の門限が……」

 「僕も寮生だから、一緒に帰ればいいよ!あと寮の門限は20時までだよ!」

などと言われれてしまえば、言い訳ストックは尽きてしまい。

強制的な入室を断れず、ズルズルと連れて行かれる。


 そしてそれからの数時間はあっという間だった。

ジュースを出され、ゲームをし、恭弥と喋り……

帰る頃にはすでに17時。

今日は12時に帰れる予定だったのに。

明日からは来ねぇ。絶対にもう金輪際この部屋には立ち寄ら

 「また明日も来てくれる?」

 「い、行かせていただきます……」

あれ、ピュアな瞳って武器だったっけか。

虹季に抗えなかった私は、一週間後もあの部屋に通い続けていた。
< 22 / 61 >

この作品をシェア

pagetop