王子とシンデレラの執着愛
玄関扉前のチャイムを鳴らす。

『はい、家政婦さんですか?』
インターフォンからは、女性の声が聞こえてきた。

(奥様かな?)
「はい!風松と申します。
本日より、黒北様のお世話をさせていただきます、よろしくお願いします!」

インターフォン越しに元気よく挨拶をすると「今、開けるわ」と返事が返ってきて、玄関扉がゆっくり開いた。

「こんにちは、黒北です」
出迎えてくれた女性は、思ったより年齢が上に見える。

「………」
(あれ?奥様って、まだ大学生よね?)

「真龍の姉です」

「え?あ、お、お姉様!」

「今、お客様が来てるの。
とりあえず、上がって?」

「は、はい!失礼します!」

リビングに通され、中に入ると……

二人の女性と同じく二人の男性が、楽しそうにお茶をしていた。

「空愛ちゃん、来たわよ〜」
真龍の姉・真帆(まほ)が呼びかけると、二人の女性のうちの一人が、風松に向かって頭を軽く下げた。

「こんにちは!家政婦の風松です!
……………」

空愛は、左目に眼帯をしていた。

思わず風松は、引いてしまう。

そのちょっとした風松の雰囲気の変化に、空愛が不安に瞳を揺らしたじろいだ。

空愛は左目の横に大きな傷があるので、普段は眼帯で左目を隠している。
夫である真龍にだけは見せるが、真龍の両親にさえ見られることを嫌うからだ。

空愛は左目を隠すように髪の毛を寄せながら、風松に「こんにちは」と言った。

空愛を見て、風松は(やっぱ、普通の子じゃん!私の方が断然綺麗じゃん!)と、優位に立った気分に浸っていた。

「空愛ちゃん、人見知りなの。
弟が仕事でいないから、私が代わりに家の中のことを説明するように言われてね」

「あ、そうなんですね」
(真龍さん、今いないんだ…)

なんとなく、肩を落とすと真帆に「あなたも、真龍目当て?」と聞かれた。

「え……」

「見たところ、年齢もまだお若いみたいだし。
もちろん、年齢で区別するのは失礼だけど…」

「あ…いえ…そのようなことはない…です…」
(バレてる…)

図星を突かれ、思わず視線を逸らす風松。
それを見て空愛は、眼帯の上から目元を擦った。

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