王子とシンデレラの執着愛
傷痕
私の、左目横の傷痕。
真龍さんと両親、アオナさんしか見たことがない傷痕。
真龍さんは、この醜い傷痕を見て“綺麗だ…”と微笑む。

あの事故以来、ずっと………


結婚して、誹謗中傷が収まってすぐの頃だった。

結婚したことで、真龍さんが“家政婦を雇う”と言い始め、すぐに広瀬(ひろせ)さんと言う家政婦さんが来た。

年齢は真帆さんと同じくらいの、スラリとした美人さん。
家事も完璧で、気遣いも怠らない。

素敵な人だった。

でも、それは………“真龍さんの前でだけ”だった―――――――

真龍さんがいない時は、私は自分のことは自分でするように言われた。

正直私は、それで良かった。

ごく普通の家庭に生まれ、家政婦さんがいる生活なんて、ドラマでしか見たことがなかった私。

誰かに何かをしてもらうなんて、なんだか気が引けて、恐縮してしまう。

それに誹謗中傷が収まっても、私の心はまだ傷が癒えてなくて、これ以上何も言われたくなかったから。

だから大学から帰ってから掃除や、自分の分の洗濯、お昼ご飯も自分で準備していた。

しかしそれは、広瀬さんにとって“嫌味に”見えたらしい。

『空愛さんって、シンデレラって言われて調子に乗ってません?』

そんなことはないんだけどな……
と言うより、私も未だに信じられないし。

真龍さんはどうして、私を選んでくれたのか。

『ヒロイン気取って、恥ずかしくないですか!?』

何も言い返せなかった。
何を言っても、伝わらないと思ったから。

逆なら、私も同じことを思ったかもしれないし…

そんなある日。
レポートで使う資料を大学に忘れてたことを思い出し、再度マンションを出ようとしていた私。

『ちょっと!
今、出られたら旦那様にバレるわ!
ここにいてよ!』

『でも、どうしても必要な資料なんです。
真龍さんには、連絡しておきますので!』

『は?
それじゃあ、私が何もしてないみたいじゃない!』

『でも大学に行くんですし、そのことで真龍さんは何も言わないと思いますよ?』

『そんなの、わかんないでしょ!
“なんで、広瀬が行かないんだ!”って言われるに決まってる!』

『私が上手く言いますから、行かせてください』
私は強引に、マンションを出た。

でもそこに、広瀬さんが追いかけて来たのだ。

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