王子とシンデレラの執着愛
風松の問いに、真帆は鋭い視線を送る。

「真龍は、家政婦を人と思ってないところがある」

「え……」

「空愛ちゃんの左の眼帯の下のこと、知ってる?」

「あ…ネットでの情報なら……」

「結婚してすぐに雇った家政婦と揉めて、階段から突き落とされたの。
それで空愛ちゃん、左目の横に大きな傷を負ったの。
それが原因で、その家政婦が空愛ちゃんにかなりの嫌がらせしてたことがわかったの……」

「そうなんですか……!?
“不慮の事故に遭った”ってことしか……」

「要は、嫉妬したってことね。
葉瑠達も、政財界の大物の御曹司や令嬢。
だから空愛ちゃんは、私達から見れば、ただの庶民。
家政婦からすれば“私と何が違うの!”って思ったんでしょうね…」

「それで、奥様を……」

「もちろんその家政婦はクビ。
しかも、もう…表には出てこれない。
どうなったかは“察して?”」

「………」

「それからも色んな家政婦が来たけど、みんな空愛ちゃんに何かしらの嫌がらせをしてた。
だから真龍は、一切家政婦を人間として扱わなくなって、異常に空愛ちゃんを囲うようになったの。
葉瑠と皐生は真龍がいない時、必ず二人のどちらかが空愛ちゃんの傍にいるから。
皐生なんか、わざわざ大学に通ってまで空愛ちゃんの傍に付いてるんだから。
絶対に空愛ちゃんを一人にしないし、信用出来る人間にしか託さない。
…………まぁ…そうでなくても、空愛ちゃんにベタ惚れなんだけどね(笑)」

「………」
風松は、固まっていた。

これから私は、どうなるのだろう……と。

「だからあなたも、ロボットみたいに淡々とこなせば大丈夫だから。
余計な感情は捨てて、ただ家事だけやればいい。
そうしないと、あなたが壊れるわ」

「は、はい…」

「………大丈夫だって!(笑)
三日間くらいは私もここに通って指導するし、それからも定期的に顔を出すから!」


それから二人は、リビングに戻った。
空愛、葉瑠、皐生、アオナは四人で楽しそうに話をしていた。

キャッキャッ…と賑やかな声が、リビングを包んでいた。


「えーと…空愛ちゃん!
とりあえず今日は、風松さんはここで帰ってもらって大丈夫よね?」

「あ、はい。
か、風松さん、明日からよろしくお願いします」
ソファから立ち上がり、緊張で顔を強張らせながら頭を下げる空愛。

「あ、でも…一度旦那様にも挨拶を…」
あんなことを聞かされても、風松は真龍に会いたいと思っていた。

「え?あ…えーと…」
言いにくそうに濁す、空愛。

そこにすかさず葉瑠が「真龍は会いたくないんだと」と言った。




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