王子とシンデレラの執着愛
じゃぶじゃぶと、顔を洗う。
なんとなく傷痕に痛みがあり、何度も顔を洗っていた。

冷蔵庫から、ミネラルウォーターを取り出し飲み干す。
ソファに座って、ボーッと真っ暗な部屋を見つめていた。

傷痕に優しく触れた。

「………そう言えば…広瀬さんは、あの後どうしたんだろ?」

真龍さんは“当然、クビにしたよ”とだけ、言っていた。

あれから、話にすら出ない。
正直もう会いたくないし、考えたくもない。

だから、今まで気に留めなかった。

「………」
………って、もうどうでもいいや!
考えたって仕方ないし…

でも……
広瀬さんからすれば、憎いよね…私のこと。

ただのカフェ店員だった私が、真龍さんに見初められて、付き合って、結婚した。

だとしたら……
風松さんは、どうなのだろう。

今のところ、よくしてくれている。
皐生さん達がいるからというのもあるけど……

この前なんか、私が好きだからってわざわざケーキ買ってきてくれてたもんね……!

でも確実に、真龍さんのこと好きだよね…風松さん。

「………あーもう!
考えない、考えない!!」

もう考えないように、頭を振っていると………

バン!!と布団の敷いてある部屋の襖が開いた。
「空愛!!?」

「え……!?真龍さん!?」

私は慌てて、電気をつけた。
「あ…空愛!!」
真龍さんが駆けてきて、私を抱き締め「良かった…」と安心したように呟いた。

「真龍さん?」

「嫌な夢みたんだ…
空愛がいなくなる夢。
そしたら、本当にいないんだもん!
びっくりすんじゃん!」

「あ…ごめんなさい!」

何度も頭を下げた。
すると真龍さんが、何か気づいたように私の頬を包み込んだ。
そして聞いてきた。
「空愛。
傷痕、痛むの?」と……

え?
どうしてわかるの?

「傷痕にあんまり触れちゃダメだよ。
痣が酷くなるからね。
触っていいのは、俺だけなんだから」

「え?」

「俺が触れる時は、おまじないみたいなモノだから。
絶対にこれ以上傷つけない。
寧ろ、少しでも痕が薄くなるように、痛みが和らぐように気持ちがこもってるからね……!
空愛は、これ…擦ったでしょ!
ダメだよ?」

そう言って、優しく撫でてくれた。
すると、本当に痛みが和らいだ。

寧ろ心地よくて、そのまま眠くなってきた。

確かに、おまじないみたいだ!
真龍さんに触れられると、とっても安心するから。

私はずっと、真龍さんの優しい感触と温かさに浸っていた。

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