眠れぬ夜は、優しすぎる刑事の腕の中で。
夏の朝、ミルクと草取り
夏の朝、まだ陽射しは強くなる前のひんやりとした空気が家の中を満たしている。
早瀬は非番の朝、連絡もせずに実家へ帰っていた。
玄関を開けると、母親がいつもと変わらぬ笑顔で迎えてくれる。
「たくみ、帰ってきたのね。気張ってたみたいだから、こっちも心配してたわよ」
母親は多くは聞かず、でも目の奥にほんの少しだけ心配の色を浮かべている。
早瀬はそんな母の様子に気づかず、ミルクに手を伸ばして優しく撫でた。
その時、父親が庭仕事の道具を片手にのんびりと声をかけてくる。
「たくみー、暑くなる前に草取りするべ」
母親は腕を組みながら笑いながらも注意する。
「せっかくの休みなんだから、たくみこき使わないでよー」
父親はちょっとふくれっ面で言い返す。
「俺のことは昨日こき使ったくせに、壊れたタンス直したのに…」
早瀬は猫を一通り撫で終えると、重い腰を上げて長靴と手袋を手に取った。
「はいはい、わかりましたよ、草取りやりますよ」
でもその表情はどこか柔らかく、日常のこの時間が、張りつめていた気持ちを少しずつ溶かしているのを自分でも感じていた。
夏の緑の香りの中、早瀬はゆっくりと庭に出ていった。
早瀬は非番の朝、連絡もせずに実家へ帰っていた。
玄関を開けると、母親がいつもと変わらぬ笑顔で迎えてくれる。
「たくみ、帰ってきたのね。気張ってたみたいだから、こっちも心配してたわよ」
母親は多くは聞かず、でも目の奥にほんの少しだけ心配の色を浮かべている。
早瀬はそんな母の様子に気づかず、ミルクに手を伸ばして優しく撫でた。
その時、父親が庭仕事の道具を片手にのんびりと声をかけてくる。
「たくみー、暑くなる前に草取りするべ」
母親は腕を組みながら笑いながらも注意する。
「せっかくの休みなんだから、たくみこき使わないでよー」
父親はちょっとふくれっ面で言い返す。
「俺のことは昨日こき使ったくせに、壊れたタンス直したのに…」
早瀬は猫を一通り撫で終えると、重い腰を上げて長靴と手袋を手に取った。
「はいはい、わかりましたよ、草取りやりますよ」
でもその表情はどこか柔らかく、日常のこの時間が、張りつめていた気持ちを少しずつ溶かしているのを自分でも感じていた。
夏の緑の香りの中、早瀬はゆっくりと庭に出ていった。