眠れぬ夜は、優しすぎる刑事の腕の中で。
そのときだった。
内線電話が、短く鋭い音を立てた。
早瀬がすぐに受話器を取る。
対応していた警ら係からだった。
「川野美咲さん宅、近隣住民から通報が入りました。子どもの泣き声が止まらないとのことです」
早瀬の表情が一変する。
「現在、最寄りの交番員が臨場中。ですが、――」
言い淀んだ向こうに代わって、新田が横から口を挟む。
「ですが?」
「扉は施錠されています。呼びかけに対する応答はなく、部屋の灯りも消えているそうです。現時点で、親の所在は不明です」
――嫌な予感が、背筋を駆け上がった。
早瀬は即座に立ち上がり、署内無線を操作しながら言った。
「現場に急行します。応援も手配してください」
新田もすでにスマホをポケットに突っ込み、隣で声を低くした。
「行くぞ、早瀬。これは……まずいな」
蝉の声すら聞こえない夜の署内を、二人の足音だけが響いていった。
内線電話が、短く鋭い音を立てた。
早瀬がすぐに受話器を取る。
対応していた警ら係からだった。
「川野美咲さん宅、近隣住民から通報が入りました。子どもの泣き声が止まらないとのことです」
早瀬の表情が一変する。
「現在、最寄りの交番員が臨場中。ですが、――」
言い淀んだ向こうに代わって、新田が横から口を挟む。
「ですが?」
「扉は施錠されています。呼びかけに対する応答はなく、部屋の灯りも消えているそうです。現時点で、親の所在は不明です」
――嫌な予感が、背筋を駆け上がった。
早瀬は即座に立ち上がり、署内無線を操作しながら言った。
「現場に急行します。応援も手配してください」
新田もすでにスマホをポケットに突っ込み、隣で声を低くした。
「行くぞ、早瀬。これは……まずいな」
蝉の声すら聞こえない夜の署内を、二人の足音だけが響いていった。