リアライズの殺人〜私は不仲のアイドルグループメンバーです。〜
でも、どちらにせよあの時、私は必死に頭を下げてくれた和哉君に、何か一言ぐらい返事をしてあげたかったのだ。
もちろん雫を通して伝える事は出来るけど、私は直接、自分の言葉で伝えたい。
素直にそう思った。
後ろにいた雫が私に声をかける。
「朱理、大丈夫?その靴のヒール、高めだよね。階段の段差、結構あるから気をつけて。」
ちょっとした事にすぐ気づいて、心配してくれる雫はやっぱり優しい。
「大丈夫だよ。心配しないで。」
前後一列になって狭い階段を降りていく私達の一番先頭を切って進む胡兎は、私と雫よりも、三歩分くらい早く目的の店の前にたどり着き、感嘆の声を上げる。
「オシャレな店だね〜!マジで楽しみなんだけど!」
胡兎に遅れて私と雫も到着すると、確かにそこはかなりお洒落な雰囲気。