リアライズの殺人〜私は不仲のアイドルグループメンバーです。〜




その後救急車が呼ばれ、立ち上がる事が困難なほど衰弱してしまったヘアメイクさんは担架で運ばれていったのだった。





その場で立ち往生していた寧音は不安な面持ちで私の側に来て呟く。




「大丈夫かな…。」




こういったアクシデントがあったからといっても、撮影を中止するわけにはいかない。




「寧音、落ち着いて。きっと大丈夫だよ。今日のヘアセット、よく決まってる。…ほら、真鵺の撮影が終わったみたいよ?」




気づけばメイク室の入口付近にどうやらソロ撮影を済ませたらしき真鵺の姿があって、それに気づいた寧音はコクン、と頷くとすぐさま真鵺の元に寄っていった。






私の足元には寧音を担当していたヘアメイクさんが、床にうずくまって動けない私の担当のヘアメイクさんの肩を抱えようとした際に、ヘアセット専用の小型の台車にぶつかり、どうやらその上にあった撮影で使うアクセ類を落としてしまったようで、それらが方々に散らばっていた。



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