リアライズの殺人〜私は不仲のアイドルグループメンバーです。〜
「ほっといてよ…。それより相変わらずご機嫌じゃん。淳平君とは上手くいってるんだ?」
私は周囲を見渡し、そばには誰もいない事を確認してから小声で問いかける。
「うん、まぁね。…っていうか、でもいいの?」
“いいの?”と聞かれても私はどうすることもできない。
グループにとって、それがどうとか以前に、恋愛する自由を止める権利なんてない。
恋する女の子の顔をする胡兎を目の前にして、私は悟った。
人の気持ちは、止められない───。
「だって、雫は良いけど胡兎はダメとは言えないでしょ。」
私はため息混じりで答える。
正直なところ、淳平君やルミノサイトに不安があるからではなくて、やっぱり羨ましかったりする自分の気持ちの落とし所がわからず、胡兎には申し訳ないけれど、素直に“良かったね。”とは言えなかった。