リアライズの殺人〜私は不仲のアイドルグループメンバーです。〜




たった今、自分が撮影で佇んでいたセットの中では、スタッフさんが小物の配置を変えたり、それに伴い照明の位置を確認したり、また色々と忙(せわ)しなく動いてくれている。





私はそれをボーッと眺めていた。






「あ〜かりっ。調子はどう?」





突然私の視界の中に飛び込んできたのは胡兎だった。





私の座っているパイプ椅子と向き合うように置かれたロッキングチェアーに、胡兎はドカッという音とともにもたれ掛かり、なぜか私に向けてピースサインを送ってくる。





「調子?…微妙。ここ最近やたら寒くなってきたからね。」





「ババ臭いな〜。朱理は寒がりだもんね?どうせ今日もめいっぱい身体にカイロ貼ってきたんでしょ。」





これは胡兎が調子に乗ってる時のウザ絡みだわ…。



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