リアライズの殺人〜私は不仲のアイドルグループメンバーです。〜





スタジオセットの裏で行われていた犬飼ディレクターのミーティングはこのタイミングで終わったようで、セットの裏からゾロゾロとスタッフ達が出てきた。




宮敷さんは自分と仲良くしている男性スタッフに駆け寄り、時間が長引いていたらしく疲れた顔を見せるその人に労いの言葉をかけている。




申し訳ないけど急いでいる私は、お疲れ様ですの挨拶だけして、そそくさとスタジオを出ていく。







久し振りに一緒に食事をとることになった柊子さんの元に向かう為に。





“朱理に改めて話しておきたいことがあるの。───”






局の外に出ると、この日も局の駐車場はなんだかいつもよりも空いていて、私はすぐに柊子さんの迎えの車の姿を確認出来た。




話ってなんだろう?





今日もまた、私を乗せた車はあの若葉テレビから見える街の夜景の中を走る。



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