リアライズの殺人〜私は不仲のアイドルグループメンバーです。〜
「あの…私もね、柊子さんにお願いしたい事があるんだ。」
「うん。なぁに?」
ずっと心のどこかで燻っていた思いが、後悔から勇気に少しずつ変わり始めている。
もう一度、期待に応えたいって思えるようになった私がいる。
だから、今なら……。
「私の番組に…今度のサブカルTVに、リアライズ五人の出演が成功したら、そしたらね───。」
───この時の私は、いろんな事が少しずつ良い方向に向かっていて、自分にとっても、メンバー達にとっても未来は開けているんだって…思ってしまった。
もうすぐ、胡兎と雫の恋愛の件は隠す必要が無くなる。
この秘密のせいで、私が抱いていた不均衡に思える関係性も元に戻るんだ。
そんな単純な話じゃないって、この時、どうして考えられなかったんだろう?
それが出来たなら、もっと違う未来に辿り着いたかもしれないのに。
本当に大切な事を、私は何も見ていなかったのかもしれない───。