リアライズの殺人〜私は不仲のアイドルグループメンバーです。〜





「もちろん聞くよ。」





私がそう答えると、胡兎もそれに合わせて頷いた。





「和哉君のグループ、ルミノサイトはね、…多分もう、本当に駄目になるかもしれないの。博巳君は相変わらず連絡がつかないし、あれから透君も正式にグループを脱退する事が決まって事務所を出ていくんだって。」





雫が心苦しい気持ちを押し殺して喋っているのが伝わってくる。





「透君が…?」




あの合コンの席で、和哉君は透君をずっと庇うように接していた。




あの二人の姿を思い出すとたった一、二回程度しか顔を合わせていない私でも少し複雑な気持ちになった。





「それで…和哉君はなんて言ってるの?」






「もちろん凄く残念がってるし、今も落ち込んでる。でも、仕方ない、とも言ってるの。」






“仕方ない”の理由がどうしても気になるところだけど、おそらくそれは、私があの日感じた、透君の態度への違和感と関連づけて考えると納得せざるを得なかった。



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