リアライズの殺人〜私は不仲のアイドルグループメンバーです。〜



周囲を見渡すと、そろそろランチタイムが近づいてきた為、店内がやや混み始めた事に気づく。




今、私達の席の近くを通ったカップルらしき二人組はこちらをチラ見していた。





「あ…ごめん。」





胡兎はよく動く琥珀色の目でキョロキョロと周囲を見回すと、慌てて口をつぐむ。






「胡兎、あのね…違うの。喧嘩とかじゃなくて、私が色々考えて決めた事なの。」






「…本当に和哉と別れたいと思ってたんだ?アイツに何か不満があるとか?」





怪訝な顔で問いただす胡兎はなんだか怒っているようにも思える。






「胡兎、それは雫の気持ちの問題なんだから、外野がどうこう言ってもしょうがないでしょ。」





私は胡兎を窘(たしな)める。






「朱理、いいの。だけど二人に私の気持ち、聞いて欲しくて。ちょっと長くなるかもだけど、いいかな?」



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