リアライズの殺人〜私は不仲のアイドルグループメンバーです。〜
だけど、より暗い顔になった雫を見て胡兎も焦っているようで。
それなら不用意に要らん事を言わないで欲しい、と少々苛立ちを感じた。
「仲間思いの和哉君なら、人脈も多いだろうし、きっと新しい仕事もすぐ見つかる、と思う!ね、雫?」
これが果たしてフォローになっているかどうかは疑問だけど、私としては精一杯の言葉を雫にかける。
「わ、私もそう思う〜…。」
白々しく胡兎も私に続く。
少しの沈黙の後、雫は笑顔で再び話を切り出した。
…無理に作った笑顔だと思った。
「大丈夫。それでも私はもう和哉君とはお別れするって決めたから。私達、もう別の未来に向かってるって気付いたの。私ね、ずっと夢だった専属モデルの仕事を貰えて本当に嬉しいんだ。これからは、何よりも仕事を一番に考えたくて。だから……。」
雫の頬に大粒の涙が伝った。