リアライズの殺人〜私は不仲のアイドルグループメンバーです。〜




私が胡兎を小突くと、怪訝な顔でしばらく考えた後にこう言った。





「私は新しいグループの為のオーディションやるって聞いたんだけど…。」





ずっと俯いたまま喋っていた雫は、はっとしたように顔を上げた。






私もその話にはちょっと驚く。







「え、私はそんな話は聞いてない…。」





雫は戸惑ってそう言うものの、すぐにこれまでより一層暗い表情になる。






私はなんとなく察した。




つまりもう、あのルミノサイトというグループは諦めて、淳平君達の事務所は新しいグループを作るつもりなんだと思った。




胡兎がこれを知っているのはそれこそ間違いなく淳平君からで、もしかすると、その新しいオーディションによってできるグループに、淳平君はいても和哉君はいない…という事なのかもしれない。




「淳平が言ってたんだけど…、え〜と、なんか…ごめん。」




ほら来た。



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