リアライズの殺人〜私は不仲のアイドルグループメンバーです。〜
「ごめん。泣いたりして。」
私が自分のカップのそばにあった店の紙ナプキンを一枚取って雫に差し出すと、それを受け取り、自分の頬を素早く拭ってソーサーの縁に小さく丸めて置いた。
「あ、冷めてきちゃったね。二杯目、頼もうよ。」
雫は私達のドリンクが冷めてきている事に気がついて、気を取り直すように店員さんを呼ぼうとする。
だけどランチ時に突入した店内はすっかり賑やかになっていて、遠くにいる店員さんに声は届きそうにない。
「二人は次、何飲む?同じでいい?私、頼んでくるから。」
「いいよ。私が行くから。」
まだ目が赤い雫に代わって私が行った方が、と思い申し出るけど、雫はそれを制してバリスタの居るキッチンの方へ向かった。
「………………。」