リアライズの殺人〜私は不仲のアイドルグループメンバーです。〜
「やば。まずいかも…!」
ひとり気まずい思いの中、私はあんまり意味が無いかもしれないけれど、立っていた所から数歩ほど離れた距離の場所へ遠ざかる。
だけどそれは勘違いで、気づかれてはいなかったのか、それとも気づいてはいても、私の存在になんて構っていられないのか、スタッフはそれ以上こちらに留意する様子はなかった。
「ヨーイ、アクション!」
カチンッ───。
『私が信じるものは、お父様じゃなく、私が決めるの!だから、あなたも…。』
麗斗君に背を向け、胸の前でこぶしを握りしめる響香は噛み締めるようにそう言った。
「───カット!」
響香ってこんな悲痛な声が出せるんだ…?
これが演技なのだとしても…。
自分でもよくわからない戸惑いをどうする事も出来なかった。