リアライズの殺人〜私は不仲のアイドルグループメンバーです。〜
…ただ、世奈さんだけは相変わらず浮かない顔のまま心ここにあらずといった様子だったけど。
“出番”が終わってホッと胸を撫で下ろした表情の胡兎がセットの中央から捌けてゲスト席に戻る。
カメラからは見えない位置で、私は“良く頑張ってくれたね。ありがとう。”っていう気持ちをアイコンタクトで胡兎に送る。
それにちゃんと気づいてくれた。
だからやっぱりカメラに見えないところで、胡兎はさりげにピースサインを作って私に応える。
そうだ、こういう胡兎らしい胡兎が、なんだかんだ言って私は好きなんだ。
ここでちょうど番組の尺の半分まで時間が過ぎて、CMに入る。
短いようでいて、私にとっては凄く長い時間だった。
いつもの放送の何倍も。
それでもここまではなんとか上手くいった。
だからこの後もどうにかちゃんと乗り切れますように…。
一息つくのも束の間の事で、私はCM開けに向け、絶対に気を抜いたら駄目なんだと、自分を戒めた。