リアライズの殺人〜私は不仲のアイドルグループメンバーです。〜
すると、俯(うつむ)き気味で喋っていた和哉君は顔を上げ、観念したように私と胡兎を見据えた。
「朱理ちゃんにとっては何の解決にも繋がらないかもしれない。…でも、オレと雫の事や、それに関わるオレのグループの話はちゃんとしておきたい。」
「わかりました。…聞かせて欲しい。」
思いのほか、真剣な顔でそう言った和哉君につられて、私も姿勢を正し、彼に向き合った。
「雫とは、1年近く前にモデルのワークショップで出会ったんだ。歌とダンスをやっている共通点があるし、それでオレが雫にダンスを教えたり、逆に雫には料理を教えて貰ったりして仲良くなって…いつの間にか自然に付き合うようになってた。その時のワークショップにはオレのグループのメンバーがもう一人来てて、だからソイツもオレ達の事は知ってるんだ。ソイツっていうのは…あ、」
和哉君の話を聞いていた胡兎は、いつの間にかまた携帯を出していて、今度は昼間とは別の和哉君のグループ写真の画像をテーブルの中心で見せた。