リアライズの殺人〜私は不仲のアイドルグループメンバーです。〜
「朱理ちゃん、ごめん。…でもオレ達もそれについては、どうしてなのか全然わからないんだ。」
こちらの質問に答えたのも、また雫ではなく和哉君で、私の雫への心の距離感が徐々に拡がっていくのを感じた。
「………………。」
私はしばらくの間、何も言う事が出来ず、沈黙になった。
「ちょっと信じらんない。そもそもアンタ達の関係ってこれまで完全に秘密にしてきたの?そうじゃないんだとしたらさ、周囲の人達のどの範囲あたりまで知ってるわけ?場合によってはアンタ達二人の話が外部に漏れて、歪曲されて伝わってる可能性も考えられるんだけど。」
堰をきったように言葉を切り出したのは胡兎で、先程までの砕けた態度からは一転して真顔になっている。
もしかして、博巳君が私の彼氏に…っていうのは二人にカマをかけたんだろうか?
ショックのせいで頭の中で考えがまとまらない、私の言うべき事をすべて代弁してくれた胡兎には後でお礼を言わなきゃ、と思った。