リアライズの殺人〜私は不仲のアイドルグループメンバーです。〜





「まるで嵐が来て、過ぎ去っていったみたいだね〜。」




胡兎はそんな事を言っていつもの調子で笑っていたけど、私は真剣そのものの和哉君の姿と発言に笑う気持ちにはなれなかった。








帰り道の冬の夜空には綺麗な月が浮かんでいて、その柔らかい光がなんだか今にもこぼれ落ちそうに見える。



それはいつも穏やかで優しい雫を思わせた。



ずっと見守っていたい気分。




和哉君が雫を想う気持ちも、もしかしたらこんな風なのかもしれない。














───この時、私はまだ分かっていなかった。





この日の出来事が、今後の私とリアライズに訪れる、大きな災難と悲劇の幕開けになる事を───。






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