報復を最愛の君と
初めましてよろしく
これが…私の過去。
何も覚えていない。
私は昔から宮殿に住んでいるはずだし、私はイコロ国を継ぐはずの姫なんだ。
そうお父様に教わってきた。
でも、これだけは言える。
ラクは嘘をついていない、これだけは絶対だ。
「悔しいよ…」
覚えていない私が、ラクに全てを背負わせた私が、父を覚えていない私がどうしても許せない。
もっと違う未来があったんじゃないか、と。
それと同時に、村を崩壊へ導いたその2人に強い怒りを覚えた。
「あのカナタとかいう奴、あれはユウセイとアヤカの協力者だ。この目で見たから確かな情報だよ。裏では闇の研究者と有名なんだ」
「カナタが…?」
そう考えると、私の村が襲われたのはカナタの研究材料のためということになる。
出会った時から…私は最初からだまされていたのだ。
なにも、考えられなくなった。
頭が真っ白になり、まるで何か固いもので頭を殴られたような気分だ。
不愉快だ。
「許せない…!!」
自分でも見たことのないような顔をしていたと思う。
でもなぜかラクは笑った。
そして、私に右手を差し出した。
「じゃあさ、俺と手を組んでよ」
「え…?手を組む…?」
突然の誘いに、私は驚きを隠せない。
「復讐をするんだよ。俺もその2人には“用”があってね。奴らは他にもいろいろ裏でやってる。このままでは国の危機でもあるんだ。だから、もう一度聞くよヒメア。俺と復讐をしないか?」
「…いいわよ。喜んで」
私もラクと同じく笑って、彼の手を取った。
ラクは、もう一度私に笑顔を見せた。
「ありがとう。じゃあ、まずは明日の昼休み作戦会議をしよう。っと、その前に自己紹介をしようか。…もちろん、本当の名前でね」
そう言ってラクはウインクした。
顔がいいからなのか、カッコよくきまってしまう。
その後、ラクはパチンッと指を鳴らした。
その音が温室に響き渡ったと同時に、漆黒の髪はみるみる金髪に変わり瞳の色も金色へと変わる。
「改めて、俺はソラ・カント。隣国のカント国の王子だよ。よろしく」
彼の言葉を聞いた後ソラ・カントという名前が、脳内で何度も再生された。
そうだ、この名前…。
「あなた…私の婚約者の…」
私がそういうと分かっていたとでもいうように、ラク…いやソラは笑った。
とても嬉しそうな顔だった。
ずっと会いたかった。
人魚である私は人間になれるまで彼とは会えない、お父様にそう言われていて諦めていた。
とても優しくて素晴らしい方だと聞いていたけれど…。
「そう、あなた…なのね。私はイコロ国の姫、ヒメア・イコロよ。実は人魚なの」
「知ってるよ」
私は涙を流した。
彼なら私が人魚であることも受け入れてくれる、そう確信していたから。
これは“嬉しい”の涙だ。
「これからよろしくね。ヒメア」
「…うん!よろしくソラ」
私達はそう言って笑い合った。
この後何が起きるかも知らずに。
何も覚えていない。
私は昔から宮殿に住んでいるはずだし、私はイコロ国を継ぐはずの姫なんだ。
そうお父様に教わってきた。
でも、これだけは言える。
ラクは嘘をついていない、これだけは絶対だ。
「悔しいよ…」
覚えていない私が、ラクに全てを背負わせた私が、父を覚えていない私がどうしても許せない。
もっと違う未来があったんじゃないか、と。
それと同時に、村を崩壊へ導いたその2人に強い怒りを覚えた。
「あのカナタとかいう奴、あれはユウセイとアヤカの協力者だ。この目で見たから確かな情報だよ。裏では闇の研究者と有名なんだ」
「カナタが…?」
そう考えると、私の村が襲われたのはカナタの研究材料のためということになる。
出会った時から…私は最初からだまされていたのだ。
なにも、考えられなくなった。
頭が真っ白になり、まるで何か固いもので頭を殴られたような気分だ。
不愉快だ。
「許せない…!!」
自分でも見たことのないような顔をしていたと思う。
でもなぜかラクは笑った。
そして、私に右手を差し出した。
「じゃあさ、俺と手を組んでよ」
「え…?手を組む…?」
突然の誘いに、私は驚きを隠せない。
「復讐をするんだよ。俺もその2人には“用”があってね。奴らは他にもいろいろ裏でやってる。このままでは国の危機でもあるんだ。だから、もう一度聞くよヒメア。俺と復讐をしないか?」
「…いいわよ。喜んで」
私もラクと同じく笑って、彼の手を取った。
ラクは、もう一度私に笑顔を見せた。
「ありがとう。じゃあ、まずは明日の昼休み作戦会議をしよう。っと、その前に自己紹介をしようか。…もちろん、本当の名前でね」
そう言ってラクはウインクした。
顔がいいからなのか、カッコよくきまってしまう。
その後、ラクはパチンッと指を鳴らした。
その音が温室に響き渡ったと同時に、漆黒の髪はみるみる金髪に変わり瞳の色も金色へと変わる。
「改めて、俺はソラ・カント。隣国のカント国の王子だよ。よろしく」
彼の言葉を聞いた後ソラ・カントという名前が、脳内で何度も再生された。
そうだ、この名前…。
「あなた…私の婚約者の…」
私がそういうと分かっていたとでもいうように、ラク…いやソラは笑った。
とても嬉しそうな顔だった。
ずっと会いたかった。
人魚である私は人間になれるまで彼とは会えない、お父様にそう言われていて諦めていた。
とても優しくて素晴らしい方だと聞いていたけれど…。
「そう、あなた…なのね。私はイコロ国の姫、ヒメア・イコロよ。実は人魚なの」
「知ってるよ」
私は涙を流した。
彼なら私が人魚であることも受け入れてくれる、そう確信していたから。
これは“嬉しい”の涙だ。
「これからよろしくね。ヒメア」
「…うん!よろしくソラ」
私達はそう言って笑い合った。
この後何が起きるかも知らずに。