報復を最愛の君と
sideエクラ 〜神〜
初めて見たその光景は、とても耐えられるようなものではなかった。
突然の吐き気が私を襲い、そのまま崩れ落ちた。
そして、檻の中の“何か”もゆっくりと振り向き私を見た。
焦点の定まらない視線で。
「た……け。だ……て」
何を言っているのか分からなかった。
まともにしゃべることができないほどになっているのか、言語が違うのか。
それすらも恐怖で分からなかった。
そしてその時、どこからか鈴の音が聞こえた。
チン…!
すっと響いた鈴の音は美しいはずなのに、今の私には恐怖の音にしか聞こえなかった。
すると、突然“何か”は首に手を当ててもがき始めた。
「あぁ…が…!」
何が起こっているのか理解できなかった。
その異様な姿は、私をさらに恐怖させたのだ。
「あらあら。ダメですねぇ、ここにきちゃ。どうしてここにいるのかしら?クラちゃん?」
この身震いするような気色の悪い喋り方は、村長の姉であるエテルネル様だ。
私達は彼女のことはエテ様と呼んでいる。
別名を、恐怖のおばさま。
歳を感じさせる白髪の髪にシワのある顔は、常にニコニコしていて気味が悪い。
「エ、エテ様…。これは…」
何をなさっているのですか、そう聞こうとした。
けれど、その笑顔から黒いオーラを感じてそれ以上言えなかった。
「んん?貴女が知らなくてもいいのですよ?これはぁ、呪いです。始末すべきは能力者共!」
「そうだそうだ!」
「神は能力者共の幸せを願っていない!」
異様だった。
エテ様もその周りにいる人も、全員狂ってる。
この“何か”が先ほど見た犬の少年と同じ、“能力者”であればこれは間違っている。
理不尽だ。
でも、私に何ができる?
何を言っても、エテ様にきっと飲み込まれてしまう。
自分の無力差を感じて落胆した時、彼女は現れた。
「何をしているのですか?」
上空から聞こえたと思い、顔をあげると私は固まってしまった。
腰まで伸びた銀白の髪に足はまるで魚のような鱗(うろこ)を持ち、美しい顔立ちと凜とした声。
水のようなものに乗り、浮いている姿はまさに神秘的だった。
「神様…」
エテ様のその声で思い出した。
神の力を持つという三大能力者の1人、人魚様だ。
「人魚様がこの能力者を制裁をしてくださる!」
「神よ、どうかご加護を」
神はなんの罪もない者を制裁と言い、罰を下すのだと思った。
けれど、私の予想した出来事とは真逆のことが起きたのだ。
「私は確かに三大能力者の人魚ですが、その者を制裁することはありません。それよりも、罰するべきはあなた方です!」
私は弾かれたように顔をあげた。
端には青ざめたみなの顔が見えた。
「な、何故ですか!私達は神に忠誠を誓い…」
「貴女達は理不尽で人を傷つけているだけです。己の罪を自覚しなさい」
エテ様は両手を合わせガタガタを震えていた。
反対に私は、神は味方してくれたと喜んでいた。
「その者は連れて帰ります。それと、貴女」
「わ、わたし…ですか?」
「ええ、そうよ。一緒に…くるかしら?」
その言葉に、私の心はぐらっと揺れた。
突然の吐き気が私を襲い、そのまま崩れ落ちた。
そして、檻の中の“何か”もゆっくりと振り向き私を見た。
焦点の定まらない視線で。
「た……け。だ……て」
何を言っているのか分からなかった。
まともにしゃべることができないほどになっているのか、言語が違うのか。
それすらも恐怖で分からなかった。
そしてその時、どこからか鈴の音が聞こえた。
チン…!
すっと響いた鈴の音は美しいはずなのに、今の私には恐怖の音にしか聞こえなかった。
すると、突然“何か”は首に手を当ててもがき始めた。
「あぁ…が…!」
何が起こっているのか理解できなかった。
その異様な姿は、私をさらに恐怖させたのだ。
「あらあら。ダメですねぇ、ここにきちゃ。どうしてここにいるのかしら?クラちゃん?」
この身震いするような気色の悪い喋り方は、村長の姉であるエテルネル様だ。
私達は彼女のことはエテ様と呼んでいる。
別名を、恐怖のおばさま。
歳を感じさせる白髪の髪にシワのある顔は、常にニコニコしていて気味が悪い。
「エ、エテ様…。これは…」
何をなさっているのですか、そう聞こうとした。
けれど、その笑顔から黒いオーラを感じてそれ以上言えなかった。
「んん?貴女が知らなくてもいいのですよ?これはぁ、呪いです。始末すべきは能力者共!」
「そうだそうだ!」
「神は能力者共の幸せを願っていない!」
異様だった。
エテ様もその周りにいる人も、全員狂ってる。
この“何か”が先ほど見た犬の少年と同じ、“能力者”であればこれは間違っている。
理不尽だ。
でも、私に何ができる?
何を言っても、エテ様にきっと飲み込まれてしまう。
自分の無力差を感じて落胆した時、彼女は現れた。
「何をしているのですか?」
上空から聞こえたと思い、顔をあげると私は固まってしまった。
腰まで伸びた銀白の髪に足はまるで魚のような鱗(うろこ)を持ち、美しい顔立ちと凜とした声。
水のようなものに乗り、浮いている姿はまさに神秘的だった。
「神様…」
エテ様のその声で思い出した。
神の力を持つという三大能力者の1人、人魚様だ。
「人魚様がこの能力者を制裁をしてくださる!」
「神よ、どうかご加護を」
神はなんの罪もない者を制裁と言い、罰を下すのだと思った。
けれど、私の予想した出来事とは真逆のことが起きたのだ。
「私は確かに三大能力者の人魚ですが、その者を制裁することはありません。それよりも、罰するべきはあなた方です!」
私は弾かれたように顔をあげた。
端には青ざめたみなの顔が見えた。
「な、何故ですか!私達は神に忠誠を誓い…」
「貴女達は理不尽で人を傷つけているだけです。己の罪を自覚しなさい」
エテ様は両手を合わせガタガタを震えていた。
反対に私は、神は味方してくれたと喜んでいた。
「その者は連れて帰ります。それと、貴女」
「わ、わたし…ですか?」
「ええ、そうよ。一緒に…くるかしら?」
その言葉に、私の心はぐらっと揺れた。