【12/31引き下げ】クールなパイロットは初心な新妻を身籠らせたい
 私は雑誌と鍵を受け取ると、今度こそ失くさないよう鍵をポーチの中にしまい、バッグの中に入れた。

「よかったらこれ、どうぞ。地方のタウン情報誌なのでつまらないかもですけど……」

 そう言って、私は一旦受け取った雑誌を桜田さんに差し出した。

「え、いただいてもいいんですか? 嬉しい。私たち、乗務でよく地方へ行くんですけど、食べ歩きとか楽しんでいて、こういうタウン情報誌ってすごくありがたいです」

 意外にも桜田さんが喜んでくれたので、私は自分が勤務するお店のアピールをした。

「実はハロウィン特集で、私が勤務するお店のスイーツがこれに掲載されているんです。もしお立ち寄りがあれば、よろしくお願いしますね」

 そう言って、お店の写真が掲載されているページを開いて宣伝すると、桜田さんが「すごい!」と、感嘆の声を上げる。

「わあ、そうなんですね! それはぜひ、お店に立ち寄らせてくださいね」

 社交辞令的な会話が済み、私は再び飛行機のハッチから外に出ようと通路を歩いていると、前方の扉が開いた。目の前に、テレビなどでよく見る操縦士の制服を着用した男性が二名、出てきた。

 先頭に立つ男性は、背の高い、顔立ちの整ったいわゆるイケメンだ。

 そういえば操縦士と副操縦士との見分け方は、制服の袖口のラインの本数だと聞いたことがある。
 目の前にいるイケメンは、袖口に四本ラインが入ったジャケットを着用していた。
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