【12/31引き下げ】クールなパイロットは初心な新妻を身籠らせたい
 この人が、この飛行機を操縦していたんだ……

 飛行機を操縦できる人といえば、航空会社に勤務するパイロットや航空自衛隊の人くらいしか想像がつかない。とても貴重な人材だ。

 思わずまじまじと見つめてしまいそうになるところをグッと堪えた。

 でも本当にイケメンだなぁ……

 操縦士になるのって、かなり難しいって聞いたことがある。
 身体的な検査も、一般的な健康診断よりも条件が厳しいとか何とかテレビで放送していたような。

 私、車の運転はできるけど、車と飛行機では次元が違いすぎるもんなぁ……

 私は尊敬の念を抱きながら彼に会釈して再びボーディングブリッジを渡ると、手荷物受取場へ向かった。
 手荷物受取場では、飛行機から降ろされた荷物がターンテーブルの上に載せられて、ゆっくりと回っている。
 乗客がひとり、またひとりと自分の荷物をターンテーブルの上から手に取り、到着ロビーへと向かっていく。
 私はターンテーブルの上の荷物に目を向けた。

 私の荷物は、オレンジ色のスーツケースだ。ビタミンカラーのそれは、高校時代に修学旅行へ行くために購入したもので、こうして使うのも実は今回で二回目だ。
 ほかの人の荷物は割と地味な色の鞄が多いので、オレンジ色のスーツケースはよく目立つ。

 ターンテーブルの上の荷物は一周目でほぼなくなり、最後のほうに出てきた私のスーツケースがその存在を放っている。

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