クールなパイロットは初心な新妻を身籠らせたい

第１章　出会い

　十月某日、日曜日。時刻はもうすぐ十八時三十分を指そうとしていた。
　私は今、空を飛んでいる。

　正確に言えば、学生時代から仲が良かった友人の結婚式に参列し、帰宅の途につくため羽田発松山行きの飛行機に乗っているのだ。

　エアラインジャパン、通称ＡＬＪは日本の三大航空会社のひとつで、羽田空港を拠点としたほぼ全国の空港に就航している航空会社だ。

　今日の関東地方は、朝から曇り空で昼から雨がぱらついていた。
　高校時代の友人が横浜で結婚式に参列するため、金曜日の最終便で東京へやってきた。土曜日は午早朝にホテル周辺を観光し、午後からは結婚式、披露宴が執り行われた。そして今日は、朝から横浜市内を観光を満喫していたのだけど、ひとつだけ気がかりなことがあった。

　明日の仕事に備えて夕方の便を予約していたのだけど、上京する前から発生し、日本列島を目掛けて北上する台風二十一号の動向が気になっていた。

　上京前は、ちょうど沖縄地方に上陸との情報で、私が松山へ戻る頃にちょうど台風の影響を受けるのではとの不安もあった。
　その不安が見事に的中し、台風二十一号はちょうど松山行きの航路を遮るかのように、本州を覆っているのアナウンスが流れている。

　搭乗前も台風の動向が気になり、テレビでも夕方あたりから空だけではなく陸路にも影響を及ぼすのではとの報道に、空港に到着するまで今日中に松山へ帰ることができるのか内心ヒヤヒヤしていた。

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