【12/31引き下げ】クールなパイロットは初心な新妻を身籠らせたい

   * * *

 
 それから一か月ほど過ぎたある日のことだ。
 金曜日の夕方、この日は珍しく、早い時間にショーケースの中にあるケーキなどの生菓子が完売した。日持ちする焼き菓子も、今日は飛ぶように売れて在庫が少なくなっており、いつもより一時間ほど早く閉店することになった。

 店の営業時間は午前十時から十九時だけど、オーナーがこの日は十八時に閉店を決定し、私は一時間早帰りさせてもらえることになった。

 スタッフルームで着替えを済ませ、ロッカーから荷物を取り出そうとした時、スマホの待ち受け画面にいくつものメッセージの通知が溜まっていることに気付いた。

 メッセージのアイコンは商店街の常連、武田さんのものだ。
 バイトをしていた時に連絡先を交換したけれど、学生時代にバイトのシフト関連での業務連絡以来、ずっと連絡なんて取ったことがない。

 いったい何ごとだろう。
 急いで画面のロックを解除して、通話アプリのメッセージ欄を開くと……

『梢子ちゃん、大変! あのイケメンが店に来た!』

『はよ店においで!』

 私は文面を見て、しばらくの間固まっていた。

 あのイケメンって……。もしかして、藤川さん……?

 たしかにあの時、店でもみんなに『また来ます』って言っていたし、私にも同じことを言っていた。

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