【12/31引き下げ】クールなパイロットは初心な新妻を身籠らせたい
 天井の照明が逆光になって、藤川さんの顔に影が差す。でも、その表情と声は、先ほどとは違って色気を感じる。

 いや、感じるどころではなく色気が駄々洩れだ。こんなふうに男性から迫られる経験なんて、生まれて初めてのことだ。意識すると、急に恥ずかしくなってきた。

 身体をよじろうとしても、組み敷かれているので逃げ場はない。
 私の様子に気付いたのか、藤川さんがキスを止め、そして私に囁いた。

「大丈夫、さっきも言ったように俺も緊張してるから」

 その言葉に、先ほどの胸の鼓動を思い出す。
 藤川さんと視線が合うと、彼が優しく頷くので、私は身体の力を抜いた。

 もう、なるようにしかならない。
 私は覚悟を決めると、言葉を発した。

「あの、私……。実はこういうこと、はじめてなので……」

 過去に付き合っていた人はいたけれど、高校時代の話だ。このような深い関係になる前に高校を卒業してそれっきりだ。それ以降、彼氏と呼べるような人はいない。だから……

「わかった、できる限り優しくする。だから、恥ずかしがらなくていい。ありのままの梢子を見せて」

 藤川さんはそう言うと、再び優しいキスをした。

「梢子のはじめてが、よかったって思えるよう頑張るよ」

 そう言って、藤川さんは私の身体に触れながら、キスの雨を降らせた。

 片手で私の手を握り、もう片方の手で、器用に服のボタンを外していく。キャミソールをたくし上げると、藤川さんの手が、私の肌に触れた。

 ひんやりとしたその指に、私の身体が条件反射でビクッとするけれど、徐々に私の身体の熱が伝わっていくのか、触れられるだけで身体が敏感に反応する。

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