【12/31引き下げ】クールなパイロットは初心な新妻を身籠らせたい

　女の子の名前はみゆきちゃんと言い、みゆきちゃんはシール帳を捲っては、「これとおなじシールもってる」や「これかわいい」などと口にして、終始目を輝かせている。

　みゆきちゃんの母親も、一緒にシール帳を覗き込んで、「今度これ見つけたら買おうか」などと話をしていた。

　飛行機は相変わらず小刻みに揺れている。けれど、先ほどのように大きな衝撃はなく、少し安定してきたようだ。

　しばらくして機内アナウンスが流れ、乱気流から抜け出したことが知らされた。

　アナウンスの後、機内に搭乗している客室乗務員が座席に飲料を配りにやって来た。飲み物を受け取る際、みゆきちゃんに「さっきはすぐに来られなくてごめんね」と、ぬりえセットを手渡した。

　みゆきちゃんは一瞬何が起こったのかわからず固まっていたけれど、ぬりえセットを見て嬉しそうな表情を浮かべている。
　私たちはお茶をもらい、みゆきちゃんがぬりえを使って早速遊んでいるのを眺めていた。

　操縦室からのアナウンスが流れた後は機体が揺れることはなく、快適な空の旅が楽しめたけれど、念のためシートベルトボタンは着陸まで点灯したままだった。

　松山への到着予定時刻は、定刻だと十八時二十分を予定していたけれど、乱気流の影響で十八時五十分――当初より三十分ほど遅れると再度アナウンスが流れた。

　機内は多少ざわついたけれど、混乱はない。