【12/31引き下げ】クールなパイロットは初心な新妻を身籠らせたい
 私は、そのシール帳を取り出すと、その親子にそれを差し出した。

「これ、よかったらお貸ししますよ。姪のものなので、後で返していただきたいんですけど……」

 私の言葉に、女の子が反応した。

「シールちょう……?」

「うん、お姉ちゃんちの姪っ子ちゃんのものなんだ。これ、知ってる? 人気あるんだよね?」

 そう言って、シール帳のボタンを外し、中のシールを見せた。

 桜子の家の近所に住む年の近い子が通う幼稚園では、シール集めが流行っているらしい。
 小児科で通院時にご褒美でもらうテレビアニメのシールに始まり、スーパーやドラッグストアで販売している大きなラインストーンのキラキラしたシール、お人形の形のシールなどがたくさん貼られている。

 お友達とシール交換をしているとも聞いているので、シール帳から剥がれないよう、目が離せない。
 ざっと見る限り、シールの粘着部分はしっかりしているので、突然ポロッと剥がれたりはしないようだ。
 私はシール帳を女の子に手渡すと、女の子は泣き止んだ。

「すみません、ありがとうございます。娘もシールを集めているので、助かります」

 奥側に座る母親が、私に声を掛け、二人でシール帳を一緒に見てくれた。
 よかった、これで少しは恐怖心が削がれたかな……
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