【12/31引き下げ】クールなパイロットは初心な新妻を身籠らせたい
「俺、明後日が仕事だから明日の夕方の便で帰る予定なんだけど、明日、よかったらデートしない?」

 思わぬ提案に、私の胸は高鳴った。

「はい! デート、したいです! 私、大人になってから彼氏ができたのってはじめてだから、嬉しい」

 私の言葉に、藤川さんが揚げ足を取る。

「え、じゃあ学生時代は彼氏がいたの?」

「高校時代は同級生の男の子と付き合ってましたけど、お互い受験生だったので、付き合うって言っても放課後一緒に勉強して一緒に下校するとか、その程度です。それに、高校を卒業したら、自然消滅したので……」

 当時、付き合っていた彼とは、同じクラスで席が隣、共通の話題があったことから何となく付き合っていた。だから休日も一緒に遊びに行くこともなく、校内で一緒に過ごすことが多かった。

「そっか……、じゃあ、俺も明日が楽しみだ」

 藤川さんの声が言葉通りに嬉しそうに聞こえたので、私も嬉しくなった。

「どこ行きたいですか? 私、車出しますよ?」

 私の言葉に、藤川さんが驚いたようだ。

「え、梢子、車持ってるの?」

 藤川さんの問いに、私は力強く頷いた。
 高校を卒業後、教習所に通って車の免許を取得した。

 松山市内、特に繁華街などの移動は市内電車や私鉄も充実しているので問題はないけれど、一歩松山から外へ出ようものなら、車は必需品だ。

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