【12/31引き下げ】クールなパイロットは初心な新妻を身籠らせたい
 自分一人で車を運転するなら事故を起こしても自己責任だけど、明日は隣に藤川さんを乗せるのだから、睡眠時間を十分に確保しておかなければと思ったのだ。

 そのことを察してくれたのか、藤川さんも私を強く引き留めることはなかった。

「そっか……。じゃあ、明日は朝の八時までにチェックアウトを済ませて、ロビーで待ってるよ」

「わかりました。じゃあ明日は、八時にホテルの前に車で迎えに来ますね。着いたら連絡します」

 私はスマホのロックを解除すると、カレンダーのスケジュールに『八時、お迎え』と入力した。
 藤川さんは隣で私の動作を眺めている。

「デート、楽しみだな。俺もスマホで行きたいところを検索しておくよ」

「そうしていただけると助かります。私も明日が楽しみです」

 スマホに入力を終えると、私はスマホをバッグの中に片付けた。
 そしてふと藤川さんの方を向くと、彼はずっと私を見つめている。

「明日会えるってわかってるのに、名残惜しい……」

 そう言って、私に顔を近付けると、唇にキスをした。

 一度甘い果実の味を知ってしまうと、我慢が利かなくなるというのは本当で、私はキスを拒めない。
 段々とキスが深くなり、私は身体のバランスを崩してベッドに背中から倒れてしまいそうになるのを、藤川さんの手が支えてくれる。

 下手したらこのまま二回戦へもつれ込みそうになるところを、寸でのところで留まったのは、藤川さんのスマホが鳴ったおかげだ。
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