君ともう一度、 恋を始めるために
「お騒がせして申し訳ありません。しかし、今回の火事や風評被害で困っているのは皆さんも彼女も同じです。どうか誤解なさらないでください」

速水不動産を名乗る男性たちが出て行った後、涼は集まっていた近所の店主たちに頭を下げた。

「本当にここを出て行くつもりはないんだね?」
「ええ、そのために私はここに帰ってきたんですから」

はっきりと肩えた柚葉に、集まった人々も安堵の表情を浮かべた。
小さな温泉町で一軒の旅館がなくなれば影響を受ける店だってある。
みんなそれを心配して集まってきたのだ。

「火事の原因や風評被についてもこちらで調査をしますので、もう少し時間をください」

真っすぐに前を見て堂々とした態度で話す涼に、もう反対の声は上がらなかった。
< 143 / 203 >

この作品をシェア

pagetop