君ともう一度、 恋を始めるために
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5年前。
夏の日差しが秋へと変わり始め、やっと夏休み気分も抜けた9月の終わり。
柚葉はいつものように、大学近くのカフェにいた。
その日のは地元主催の異文化交流イベントとして普段はなかなか手に入らない海外の書籍が多くそろえられており、いつもよりも多くの人で賑わっていた。
柚葉も客の1人として紅茶を片手にお気に入りの本を広げていた。
そこへ、背の高い男性が目の前に立った。
「ご一緒してもいいですか?」
見れば店内は満員で空席がなく、相席をするしかない。
「ええ、どうぞ」
「ありがとうございます」
ペコリと頭を下げてから向かいの席に座る男性に、柚葉は見とれた
身長は180センチ越えでスリムだけど筋肉のついたアスリート体形。
黒髪のストレートはやや長めで今は下ろされているが、アップにすればヤングエグゼクティブにも見えることだろう。
すっと通った高い鼻梁と彫りの深い顔立ち、ダークグレーの瞳が隠しきれないほどの存在感を醸し出している。
その整い過ぎた顔立ちから冷めたい印象を受けがちだが、笑うと優しさが滲むし、優雅な立ち居振る舞いのせいで何気ない仕草すら魅力的に映った。