君ともう一度、 恋を始めるために
その後柚葉は祖母に連絡を取り、今夜一晩莉奈をお願いすることにした。
生まれて初めて莉奈が柚葉と離れて過ごすことに不安を感じながらも、柚葉自身も莉奈と離れて眠るのが寂しかった。
一方の涼のほうは、常に紳士的だった。
同じ空間にいるということで不安もあったが、何かを無理強いされるようなこともなく柚葉が寝室に入るのを見届けてから自らも部屋へと入ったようだった。
広いリビングルームの先、扉を挟んだその向こうにあれだけ会いたかった涼がいる。
そう思ったら、柚葉は感情が溢れそうだった。
けれど、莉奈を守れるのは自分しかいないのだと思いじっと耐えるしかなかった。

結局その夜は眠れないままベッドの上で過ごし、朝明るくなるよりも早く柚葉は部屋を出た。
足音を忍ばせながら、そっと抜け出すことに後ろめたさは感じながら、他にどうすることもできなかった。
幸い涼に気づかれることもなく、1人始発の電車を乗り継ぐと莉奈の待つ門司へと向かった。

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