君ともう一度、 恋を始めるために
あまり社交的ではない柚葉にとって、優香とすごす時間はとても貴重だ。
自分の思いをなんでも口にできる友人といることで、柚葉の心が軽くなっていくのを感じていた。

ーーーああ、帰ってきてよかった。

こうして一瞬でも息を抜き心を開いて話せる時間が持てたことに、柚葉は感謝した。
そして、変化は柚葉一人ではない。
最近は莉奈も以前よりよく笑うようになったのだ。
それはきっと、祖母や父など莉奈のことを愛してくれる人が周囲に増えたおかげだろうと思う。

「何があっても、私は柚葉の味方だからね」
「うん、優香ありがとう」

感謝を込めて頭を下げようとした。
その瞬間、柚葉のスマホが着信を知らせた。
見ると発信元は祖母。不安を感じた柚葉はすぐに着信ボタンを押した。

「もしもしおばあちゃん、どうしたの?」

何かなければ電話をしてくることのない祖母だけに、柚葉は慌てて尋ねた。
とはいえ、先日莉奈がケガをしたこともあり、今度は熱でも出したのかしらとそのくらいの気持ちだった。

『莉奈ちゃんが』
「莉奈がどうしたの?」

ただ事ではなく動揺した祖母の声に、柚葉も一瞬息をのむ。

『いなくなったらしくて』
「いなくなったって、どういうこと?」

意味が分からず聞き返した柚葉。
そもそも、莉奈は今日保育園に行っていて、夕方の迎えは祖母にお願いしていた。
その莉奈がいなくなったとはどういうことなのか、柚葉には理解が追い付かなかった。
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