君ともう一度、 恋を始めるために
目の前に座り優雅に微笑むのは、涼の婚約者である速水玲奈。
こうして直接会うのは4年ぶりだが、高級ブランドの服にキラキラのアクセサリーときっちりメイク、大きく巻いたウエーブヘアまで以前のままだった。
その玲奈が門司の駅前で莉奈と一緒にいるところを見た瞬間、柚葉はすべてを悟った。
柚葉の許可もなく莉奈を保育園から連れ出したのは、玲奈だったのだ。

元々、莉奈のお迎えは祖母に頼んでいた。
しかし、祖母が向かえに行くタイミングで旅館に大量の当日予約が入ったのだそうだ。
最終的に予約はすぐにキャンセルとなったのだが、祖母はその対応に追われてお迎えの時間が遅れた。
そうしている間に玲奈が保育園へ迎えに行き、どさくさに紛れて莉奈を連れ出したのだ。
もちろんキャンセルされた大量予約もすべて玲奈の仕業だった。

「これは誘拐よ」

あまりにも口惜しくて、柚葉も黙っていられなかった。

「莉奈ちゃんを涼が引き取ればいつかは私の子供ってことになるんだから、連れだしてどこが悪いの?」
「えっ」

今度こそ、柚葉は息が止まりそうになった。
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