Good day ! 4【書籍化】
羽田空港の駐車場に着くと、恵真はフライトレーダーのアプリで現在の離発着の様子を確認する。

「んー、今は第1ターミナルからの方が飛行機たくさん見られそうね」

舞の手を引いて第1ターミナルの展望デッキに向かった。

「すごい! たくさんあるね、ひこうき」
「そうね。色んな種類の飛行機が並んでるね」
「あ、あれ! おとうさんとおかあさんのひこうきだ」

え?と恵真は、舞が指差す先を見る。
日本ウイング航空のボーイング787が地上走行していた。

「ええ!? 舞、どうして分かったの?」
「だって、かたちがちょっとちがうでしょ?」

会社のロゴだけならまだしも、機種まで見分けられるとは……。
子どもの観察力に思わず感心する。

「すごいわね。大人でもなかなか見分けられないわよ」
「おとうさんとおかあさんのひこうきだもん。とくべつかっこいいよ」
「舞……」

なんだか今日は、舞に嬉しい言葉をかけてもらってばかりだ。

(私の方が舞を励ましたかったのに)

恵真は、クスッと笑みをこぼす。

「ありがとう、舞」
「ん? なあに?」
「ううん、なんでもない。お母さんの子でいてくれて、ありがとう」

え?と首をかしげてから、舞はにっこり笑う。

「おかあさんも、わたしのおかあさんでいてくれて、ありがとう」
「もう、舞ったら……。お母さんが舞に色々してあげたいのに。そうだ、この下のカフェで飛行機見ながらジュース飲まない?」
「わあ、いいの? うん、行きたい!」
「よし、決まりね。行こう、舞」
「うん!」

二人で笑顔で頷き合い、手を繋いで歩き出した。
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