Good day ! 4【書籍化】
「ただいまー」
「おかえり! 翼、舞」
「えっ、お父さんとお母さん?」

夕方になり、小学校から帰って来た双子を玄関で出迎えると、翼も舞も目を丸くした。

「アメリカに飛んだんじゃなかったの? どうしたの?」

そう言う舞に続いて、翼が「忘れ物?」と聞いてくる。

「ははっ! そうだな、翼と舞を連れていくのを忘れちゃってさ」
「そうなの? それで帰ってきたの?」
「ああ。二人に会いたくてな」

すると舞は顔をしかめる。

「お父さん。お仕事なんだから、そんな理由で帰ってきたらダメよ」
「ははっ、そうだな、舞。明日も家で反省したら、またちゃんと働くからさ。よし! 今夜はお寿司を頼もうか」
「お寿司? やったー!」

飛び跳ねて喜ぶ翼と舞に、恵真も大和も目を細めた。

「二人とも、疲れたでしょ? 今夜は早く休みなさい」

お寿司を食べたあと、大和の母親に促されて、恵真と大和は早めにベッドに入った。

二人きりの寝室で大和は優しく恵真を抱き寄せ、愛おしそうに髪をなでる。

「恵真」
「ん? なあに」

トロンと潤んだ目で見上げてくる恵真は、操縦桿を握っている時とは別人のように、あどけなく可愛らしい。

「どこまですごいんだろう、俺の恵真は。 かっこよくて心から尊敬出来るパイロットで、俺の腕の中では最高に可愛くて愛おしい。恵真が俺といてくれることが、奇跡みたいに感じる」

すると恵真は照れたように笑ってうつむいた。

「私の方こそ。大和さんのおかげで、私はいつも勇気をもらえるの。あの時、コックピットで大和さんが頷いてくれたから、不安な気持ちがスッと消えていった。大和さんが後ろで見守っててくれるから、私は冷静になれた。大丈夫、大和さんがついていてくれるって、心から安心出来た。全部あなたのおかげなの、大和さん」

恵真……と、大和は切なげに言葉を詰まらせる。

「どんなに伝えても伝えきれない。恵真、君を心から愛していると」
「大和さん……。もう充分伝わってます。あなたはどんな時も私の心の支え。私の全てなの」

微笑みを浮かべる恵真を、大和はたまらず胸にかき抱く。
愛を込めて、溶け合うように、大和は恵真に深く熱く口づけた。
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