Good day ! 4【書籍化】
「お疲れ様です。186便の佐倉です」

オフィスに出社すると、「あっ、来た!」と一斉に色んな人たちが近づいてきた。

「佐倉キャプテン、恵真キャプテン、ついにこの日が来ましたね! はい、まずは記念写真を」

そう言って川原が、すかさずパシャッと写真を撮る。

「部長もいらしてるんですよ。部長ー! 佐倉さんご夫妻、ショーアップされましたよー」

総務課の佐野がオフィスの奥に声をかけると、今は退職したかつての部長が現れた。

「おおー、佐倉くん、藤崎くん。相変わらず元気そうだね」
「はい、部長もお変わりなく。今日はお越しくださってありがとうございます」
「いやいや、私こそ。二人には本当に感謝している。JWAの看板パイロットの座を押し付けて、ハネムーンフライトやフライトデビュー、更にはフルムーンフライトまで企画してしまってね。私のわがままな夢を叶えてくれて、本当にありがとう」
「こちらこそ。とてもありがたい機会をいただいて、感謝しています。今日もベストを尽くします」
「ああ、頼んだよ。二人のフライトを、私も噛みしめながら飛ばせてもらうよ」
「はい。それでは後ほど、シップでお待ちしております」

一旦部長と別れて、二人でブリーフィングエリアに向かった。

「おっ、来た来た! 熟年フライトのお二人」
「あはは! 野中さん、二人に怒られますよ?」
「お前だって笑ってるじゃないか」

いつもの調子で野中と伊沢が近づいてきた。

「よっ、お二人さん。ホノルル楽しんできてくれ。土産、楽しみにしてる」
「俺も。あと、APUアウトにならないことをお祈りします」

大和は、やれやれと苦笑いする。

「伊沢。APUアウトくらいで、俺と恵真が怯むとでも思うのか?」
「うわっ、出た。最強キャプテン夫婦のドヤ顔」
「何を言う、これくらい当たり前だ」

今度は恵真が、やれやれとため息をついた。

「そろそろブリーフィング始めましょう。遅れたら大変です」
「そうだな。じゃあ野中さんも伊沢も、土産ばなしを楽しみにしててください」

話はいいから、マカデミアナッツをー!という野中の声を背中に聞きながら、ようやく二人はブリーフィングを始めた。
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