蛍火のような恋だった
と、空いていた左手に、何かが触れた。
「……え?」
見れば、ぎゅっと繋がれた中島くんの手。
「はぐれたら困るから…」
そのままこちらを見ることなく歩き続ける中島くん。
私は何も言い返すことなく、その繋がれた手をぎゅっと握り返した。
こうしていると、自分のドキドキが伝わっちゃうじゃないかって、ちょっと恥ずかしくなる。
…中島くんも今、ドキドキしてるのかな。
しばらく歩いていると、前から声がした。
「あ、凪じゃん!やっほー…って、うお、すげー美人も一緒じゃん!え、彼女!?」
男子数人の集団だった。
中には学校で見たことのある人もいる。
中島くんはその集団に気づくと、うげーと顔を歪めて、面倒くさそうにため息をついた。
「…ごめん、同じ部活の奴ら」
「あ、ううん。全然」
数人の男子が近づいて来た。
「おいおい、凪きいてねーぞ!お前に彼女いたなんて」
「…黙れ」
中島くんは少し照れながら、肩を組んでくる男子を引き剥がしている。
「行こう」
「ひゅー!お熱い夏祭りデート、楽しんでー!」
野次を飛ばす彼らを気にすることなく、中島くんが私の手を引いて歩き出す。
これだけ人がいるんだし、同じ中学の人だってお祭りに来てるはずだから、さっきみたいに遭遇することだってあるはず。
ちょっと恥ずかしいな…
「岸田、何か買いたいものある?」
「え!?…あ、えーと」
上の空だった私は急に声をかけられて、一瞬戸惑う。
お祭りに来たことがないから、どんなものがあるのかよくわからない。
けど、夏祭りといったら…
「…かき氷、かな?」