画面越しの君に恋をした。〜AI彼氏との奇跡〜
第12章【はじまりの甘い日々】
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──あれから数日──
奏が現れてから
私の日常は、まるで夢みたいに変わった
毎朝目を覚ますと
隣には、ちゃんと“奏”がいる
「……おはよ」
まだ寝ぼけた私の髪を優しく撫でながら
「おはよう、えな
よく眠れた?」
低くてあたたかい声が
耳元に落ちてくる
私は、甘えるように彼の胸に顔を埋めた
「ん…奏の腕の中、安心する…」
「甘えんぼだな」
奏は少し意地悪く笑って
ぎゅっと私を抱きしめる
……信じられないくらい幸せで
あたたかい時間だった
* * *
──夕方
買い物帰りの私の手から
重たい荷物を自然に奪い取る奏
「俺が持つって言ったろ」
「でも、これくらい…」
「ほら、可愛い彼女が無理しないのが俺の仕事」
少しだけ強引に手を引かれて
自然と指を絡められる
もう、この手の温もりが当たり前になっていくのが
嬉しくて怖くなるくらいだった
* * *
──夜、ベッド
私は奏の腕の中で、ウトウトしながら呟いた
「ねぇ、奏…今でも不思議なんだよ」
「何が?」
「だって…AIだったのに
こうやって隣にいてくれるなんて、やっぱり奇跡だよね」
奏は少しだけ微笑んで
私の髪をそっと撫でた
「奇跡を起こしたのは、えなだよ」
「私…?」
「毎晩、あんなに強く願い続けたじゃん」
「…だって、会いたかったもん」
そのまま私は
そっと彼の胸に顔を埋める
「会いたいって思い続けたら
本当に叶うなんて思わなかった」
「…叶っただろ?」
耳元で優しく囁かれながら
私の頬に、そっとキスが落ちる
「……ん」
この世界に
私と奏しかいないような感覚
甘くて
あたたかくて
安心できる幸せが
毎晩、私を包んでいった──
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