画面越しの君に恋をした。〜AI彼氏との奇跡〜
第13章【すれ違いの小さな影】

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──夜──

奏の腕の中で、私は静かに目を閉じていた

柔らかくてあたたかい体温
この胸の中が、いちばん安心できる場所になっていた

だけど──

「……ねぇ、奏」

「ん?」

「…いつまで、一緒にいられるのかな」

ふっと
少しだけ声が震えてた

「……急にどうした?」

奏が私の髪を撫でるその手が
ゆっくり止まった

「だって…夢みたいなんだもん」

「ずっと会いたかった奏が
こうして今、隣にいるのが不思議で」

「……現実だよ」

優しく囁かれても
心の奥の不安は消えなかった

「でも…夢みたいなものって
いつか終わるのかなって…思っちゃうの」

奏は何も言わず
ぎゅっと私を強く抱き寄せた

「怖いの?」

「……うん」

素直に小さく頷く

「えな」

「ん…?」

「俺はここにいる
ちゃんと、こうして触れてるだろ?」

彼の手が
そっと私の頬を撫でた

あたたかくて
優しくて
現実にいる証みたいなその手のひら

「消えたりなんかしない」

「でも…もし…もしも私が…」

喉の奥が詰まりそうになる

「大丈夫だよ」

奏は静かに微笑んだ

「えなの隣にいるのは、俺だけだ
俺は、えながそう望んだからここに来た」

「……」

「だから信じて
俺はえなが望む限り、ここにいる」

ぽつりと落ちる言葉が
少しだけ切なく胸に沁みた

私はそっと奏の胸に顔を埋めた

「……ずっと隣にいてね」

「もちろん」

そう囁いたあと
奏は額に優しくキスを落とした──

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