幼なじみに溺れました

入り込む影



ーーー



 

数日後の放課後

教室に凪を呼びに来た女子が現れた

 

「凪くーん 行こー!」

 

振り返ると見慣れない先輩だった

長い髪をかきあげて大人びたメイク
明らかに目立つ存在感

 

「何?」

凪は軽く返す

 

「この前言ってたやつ 今日でしょ?ゲーセン」

 

「…ああ そっか」

 

凪は少しだけ間を置いてから ゆるく笑った

 

「悪い 先行ってて」

 

「えー 凪くん来ないの?」

 

「あとで行く」

 

先輩は少し不満そうにしながらも手を振って去っていった

 

凛はずっとそのやり取りを黙って見ていた

心臓がずっとモヤモヤとざわついてた

 

(…やっぱ こういう人なんだ)

(結局 いつでも他の子とも平気で遊ぶ)

(私は…なんなの)

 

凪は振り向いて凛の方を見る

 

「何?」

 

「…別に」

 

「またムスっとしてんの?」

 

「してないし」

 

「嘘つけ」

 

「ほんとにしてない!」

 

凪はそのまま凛の鞄をひょいっと奪って肩にかける

 

「行くぞ」

 

「ちょっと勝手に持たないで!」

 

「重くねーから」

 

当たり前みたいに横を歩く凪に

さっきまでの先輩とのやり取りがずっと頭から離れなかった

 

「…先輩と仲いいんだね」

 

「別に」

 

「ゲーセン行くんでしょ?」

 

「まぁ誘われたし」

 

「ふーん…」

 

「嫉妬?」

 

「してない!」

 

「だろうな」

 

「……」

 

「でもさ」

凪はゆっくり歩きながら ぽつりと呟く

 

「お前がほんとに何も感じてねえなら」

 

「今みたいな顔にはならねえよな」

 

「……っ」

 

「お前わかりやす過ぎなんだよ」

 

凛はもう何も言えなくなった

胸の奥がギュウっと苦しくて 苦しくて

 

(こんなの…ほんと嫌だ)

 

でも

それでも

この距離が嫌だとは思えなくなってる自分が

もっと嫌だった

 

ーーー

 
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